病理診断について  
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 長崎大学病院病理部での週1回の切り出しおよび手術症例の病理診断と病理解剖を担当しています。さらに健康保険諫早総合病院、聖フランシスコ病院、国立長崎医療センター、国立嬉野医療センターに病理医を派遣し、春回会井上病院、虹ヶ丘病院、国立川棚医療センター、上戸町病院、三菱病院などの関連病院からの生検・手術例の病理診断および細胞診、病理解剖、CPCの依頼を受けて、地域医療へ貢献しています。


組織標本作製から病理診断まで
 
「病理診断とは?」
 患者様の体より採取された病変の組織や細胞から顕微鏡用のガラス標本が作られます。
この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理診断です。この病理診断を専門とする医師が病理医です。


「病理診断には以下のようなものがあります。」
細胞診断
  喀痰(たん)や尿の中にがん細胞が混じることがあります。喀痰や尿を顕微鏡で調べて、がん細胞がいるかどうかを判断するのが細胞診断(いわゆる「細胞診」)です。
生検組織診断
  針、鉗子、匙、切開などにより採取された生体組織の一部を顕微鏡的に検査します。
手術中迅速診断鉗
  病変が体の深い部分にあるために生検が難しい場合、「術中(じゅつちゅう)迅速(じんそく)診断(しんだん)」を行います。術中迅速診断では、手術中に採取された病変組織から10分程度で病理診断が行われます。
手術で摘出された臓器、組織の診断
  採取された組織標本を、どのような病変がどれくらい進行しているか、手術でとりきれたのか、追加治療が必要かどうか、がんの場合、タチの悪さや転移の有無などを顕微鏡で観察します。
病理解剖
  ご遺族の承諾のもとに、病死された患者様のご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」です。生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを判断します。


「病理標本作製には次のような工程があります。」
組織採取 固定 切り出し 包埋 薄切 染色 顕微鏡観察
組織採取
  病理解剖や手術切除(摘出)組織より検査材料を採取します。
固定
  試料を自己分解や腐敗による劣化から保護するため、ホルマリン液などを用いて化学処理を行い、あらゆる生化学反応を停止させます。
切り出し
  摘出された臓器・組織は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を必要な数だけ切りとります。
包埋
  組織を薄く切るには、パラフィンブロックを用いますが、パラフィンを組織に浸透させるために、アルコールや有機溶媒を用いた自動包埋装置を使用します。
薄切
  パラフィンで固められた組織をミクロトームという機器を用いて厚さ2〜3μm程度に薄く切り、スライドガラスに貼り付けます。
染色
  ガラス標本染色には、おもにHE染色(ヘマトキシリン・エオジン染色)や特殊染色(アザン・マロリー染色、鍍銀染色、免疫染色)があります。
顕微鏡観察
  病変の有無や性状、良性悪性の鑑別、治療方針の根拠、その他の所見を明らかにします。

以下の写真は、切り出し、包埋、薄切、染色、ガラス標本、顕微鏡観察の様子です。
切り出し
切り出し
 
包埋
包 埋
 
薄切
薄 切
染色
染 色
 
ガラス標本
ガラス標本
 
顕微鏡観察
顕微鏡観察

 原研病理標本作製室では、あらゆる病理診断に必要なガラス標本作製を行っています。
 組織や細胞の採取は、主に外科医・内科医・産婦人科医などの臨床医が行いますが、採取された組織から作られた標本を顕微鏡で観察して診断するのは病理医です。病理医は、どのような病変がどれくらい進行しているか、手術でとりきれたか、追加治療が必要かなど、治療方針の決定に役立つ情報を臨床医に提供します。

 
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