プログラム【講師略歴・講演要旨】
 
プログラム>【講師略歴・講演要旨】中島正洋「被爆者腫瘍の病理疫学研究成果」

中島正洋
中島 正洋  Masahiro Nakashima
1965年生まれ。長崎大学大学院医学研究科修了。病理学専攻、医学博士。
米国UCLA School of Medicine Cedars-Sinai Research Instituteにて博士研究員として内分泌腫瘍の研究に従事。帰国後、長崎大学医学部助手、同大学院医歯薬学総合研究科講師を経て、准教授となり現在に至る。専門は人体病理学で、被爆者腫瘍の分子病理学的解析に取り組んでいる。


被爆者腫瘍の病理疫学研究成果
 「被爆者の発癌リスクが現在でも続いている」という疫学情報は、被爆者研究の共通認識となっているがその分子機構は未だ不明である。被爆者腫瘍研究には被爆情報・病理診断とリンクした生体試料が必要不可欠で、30年以上の長期にわたり蓄積されてきた被爆者データベースは貴重である。我々は、近距離被爆者に、1980年代に至って重複がん罹患率が高くなり現在も増加傾向にあることを報告した。多重がんは発がん因子への全身暴露や個人の腫瘍になり易さを示唆する現象である。被爆者発癌リスク亢進メカニズムの解明は、現在の原爆後障害研究における最重要課題のひとつである。最近、皮膚癌に罹患した近距離被爆者の一見正常に見える表皮細胞でDNA損傷応答が亢進していることを見出した。被爆者では通常の環境下でDNAが傷つき易い状態にあり、放射線被曝により誘導されたゲノム不安定性が発癌の背景因子となっている可能性を示唆している。
 
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