3、
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救護情況 |
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イ、 |
期間 自8月12日至8月22日の11日間 |
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口、 |
地域 西浦上川平町、三山町 |
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ハ、 |
方法 各戸訪問巡回診療法
患者は既に自宅或いは知人宅に収容せられあり且つ救護所に適当なる建築物無く又敵機頻襲の下多人数の集合は危険なるを以て患者は各戸に静養せしめ之を訪問治療することに決せり、然れども民家は山腹或いは河畔に散在し、行動範囲は字三組、河内より字畦別当に至る概ね7粁の間に亘り屢々敵機の来襲を受け待避を繰返し昼は炎天下山地の行軍、夜は灯火の不足に困難を感じ殊に隊員自身原子爆弾による被害者にして大半は負傷し居り且つ衛生材料も充分ならず作業は相当の辛苦を克服して遂行せられたり、患者の症状に応じ毎日訪問して繃帯交換するもあり、数日の間隔をおきて診療せるもあり救急処置の需めに応じ駆附くるもありたり |
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二、 |
患者
甲 |
放射線障害 |
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(イ) |
即時性障害 |
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爆死 |
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皮膚障害(皮膚型) |
30名 |
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(ロ) |
早発生障害 |
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消化器障害(消化器型) |
8名 |
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血液障害(出血型) |
4名 |
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(ハ) |
遅発性障害 |
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乙 |
一般外傷 |
40名 |
丙 |
混合傷 |
9名 |
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計 |
91名 |
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ホ、 |
治療方針
○皮膚型…傷面の不潔なる痂皮を除去しオキシフルにて清拭し千倍リバノールガーゼを当て或いは油脂を塗布し、尚ほ特殊物理的療法として鉱泉温浴法を併用せり、則ち三山町六枚板に金山の廃坑より湧出する無色透明稍渋味及び琉化水素様臭気を有する冷泉ありて古来火焼及び創傷に治効ありと称せられたりしが本隊長も亦予ねて物理的療法の一として実験し其の有効なることを確認し居りしを以て大いに之を活用せり
○消化器型…爆撃後23日乃至1週間後に口唇部に小豆大の膿癌多数を生じ次いで口内にも同様の膿疱続発し破れて潰瘍となり厚き黄褐色の舌苔を衣し悪臭を放つ潰瘍性口内炎を発生す、日時の経過と共に食慾不振、悪心、嘔吐等の胃症状を発す、この経過より推察するに潰瘍性炎衝と口腔より消化器粘膜を下降性に侵しつゝ直腸に至る全系を侵すものゝ如し、而して患者は口内の疼痛その他消化器障碍の為食餌摂取不能となり遂に栄養障碍の為死亡す、但し他に伝染せるを認めず、この型の患者に対しては安静食餌の注意等一般養護法を施し口内炎に対しては重曹水又は硼酸水の含嗽を行いたるもその進行を阻止し得ざりき胃腸障碍に対しては健胃剤吸着剤等無効に終れり、汚物の処理に関しては赤痢を顧慮し厳重なる消毒を命じたり
○出血型…小児に於ては一週間後に発症せるものありしも一般には10日以後多くは二週間頃に全身違和感食慾不振を以って発症す、次いで23日後に多くは悪感戦慄を伴う42度にも達する高熱を発しこの頃より出血性傾向発現し皮下溢血班、歯齦出血、衄血、吐血、下血を来し著名なる貧血を来し死亡す、此の間頭髪の完全脱落を来し者多し、発症以来死に至る迄概ね一週間なり、これに対し止血剤ビタミンC剤の注射、内服を行い新鮮なる果汁を投与するも無効なりき
○遅発型…余等は今次障害を急性過激性放射障害なりと判断す、全て放射線障害の人体に於ける発現は波状性にして一定の周期を有す、且つ早期に発現する症状と後期に発現するものとあり、放射線の被射量大量なりしものは即死或は皮膚障害を受け稍小量なりしものは消化器型乃至出血型を呈したるものならむ、更に小量なりしものに於ては爾今何らかの病症を発する公算大なり、特にウラン原子の爆発以後ラジウム、ラドン等放射性物質が現場に残留しあらば之より発する放射線によつて障害を被むる虞あり
○創傷…創面を清拭しガラス片、コンクリート片、土砂或いは木片等の異物を除去し、哆聞せる大創は之を縫合しその他必要なる整形手術を施行し、ヨードチンキを以て消毒し之にも亦鉱泉温浴療法を併用せり
○骨折…埋没の為骨折を来したるものは多く焼死したるを以て骨折患者は少し、之には副木安静の既定方針に従いて処理せり
○脱臼…無し
○打撲…ヨードチンキ塗布療法を行う
○混合型…上記の各型の混合せるもの多し
へ、治療の成績
○鉱泉療法の効果…皮膚障害に対して有効にして概ね二週間にして殆んど全治せり、これを併用せざりしものは尚肉芽面より分泌液を出しつゝありて治癒速度に著明なる差異を認む
○内科型障害…に対しては試みたる手段全て無効に終れり |
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