今月の一枚

細胞に放射線が当たるとDNA二本鎖切断と呼ばれるDNA損傷ができますが、それを修復しようとして様々な蛋白質が集まってきたり、損傷部位にいる蛋白質にリン酸化などの翻訳後修飾が起こったりします。ここにお示ししている53BP1蛋白質はDNA二本鎖切断部位に集まってくる因子で、H2AX蛋白質はDNAが巻きついているヒストンと呼ばれる蛋白質の一種でDNA二本鎖切断ができると139番目のセリン(S139)がリン酸化されます(Phospho-H2AX)。これらの蛋白質のDNA二本鎖切断部位での集積やリン酸化は、特異的抗体を用いた蛍光免疫染色により可視化することができ、写真のような斑点状の「フォーカス」として観察されます。写真ではガンマ線照射後0.5, 2, 4, 8時間後のフォーカスをお示ししていますが、照射後時間経過とともにフォーカスの数が減少していることから、DNA二本鎖切断の修復が進んでいることが分かります。このようにフォーカスを用いれば、DNA二本鎖切断の部位を可視化し、ある細胞やある条件下でのDNA修復効率を調べることができます。現在このフォーカスはDNA二本鎖切断の部位や数の指標としてDNA修復の研究分野で広く用いられています。