長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
長崎大学
JAPANESE ENGLISH
一般の皆さまへ Publicity Activities
ホーム一般の皆さまへ放射能Q&A>Q.7
 
放射能Q&A - Q.7 A A
 
 
Q
7. 長崎原爆はプルトニウム爆弾だったそうです。プルトニウムは毒性が強い物質であると聞いています。プルトニウムの毒性とはどのようなものでしょうか。
A
  プルトニウムの毒性問題は、主に放射線障害です。
 
 広島と長崎に原爆が投下されました。なぜ二発の原爆が、しかも時を同じくして投下されたのでしょうか。日本大使を務めたことのあるアメリカの親日家故ライシャワー氏は「広島に落とされた一発目の原爆は必要であったとの議論も成り立つが、長崎に投下された二発目の原爆は絶対に正当化されない」と言っています。
 広島原爆はウラン爆弾であったのに対し、長崎原爆はプルトニウム爆弾でした。しかも、構造も違っていました。二発目の原爆が投下された理由として、広島と長崎の原爆の種類が違うので、両方の効果を知りたいためだったとの考えがあります。


 爆発した原爆は原子雲を作りました。原子雲は西風に吹かれ、金比羅山を超え、西山を中心に黒い雨を降らしました。原爆には約13キログラムのプルトニウムが入っていました。核爆発に有効だったのは約10%でしたが、残りの90%は原子雲に乗り、黒い雨に混じって降り注ぎました。
 プルトニウムは半減期が長いので、現在でも未耕地の土の表面からはごくわずかのプルトニウムが見つかります。しかし、降り注いだプルトニウムの多くは、その後の雨に流されたり、農耕地や道路工事、建築のために土を掘り起こしたりして見つかりません。爆心地近くにもプルトニウムが灰と一緒に降り注いだかもしれませんが、今のように都市化されると調べようがありません。
 最近では、プルトニウムをヨーロッパから日本に海上輸送するニュースが話題になっています。これは、使用後の原子炉のウラン燃料から抽出されたプルトニウムで、輸送ルートの近隣国からは、大変危険であると、反対の意見があがっています。
 プルトニウムは人体に危険ではないかとの心配があります。プルトニウムは水銀やカドミウムと同じ重金属で、体内に入ると腎臓障害を与えるという化学的毒性があります。また、プルトニウムが出す放射線による「放射線障害」があります。化学毒性はウランとほぼ同じと考えられます。しかし、放射線障害の方がはるかに大きいので、化学毒性は無視できます。
 プルトニウムから出る放射線はアルファ線です。アルファ線の透過力は非常に弱く、空気で吸収されてしまいます。プルトニウムが皮膚に触れても、アルファ線は皮膚の中には入ってきません。また、プルトニウムが口から食べ物と一緒に入っても、消化管からの吸収率は0.1%以下で体内にはほとんど吸収されません。空気と一緒に肺に吸収されたときには心配です。犬を用いた実験では、一定量以上のプルトニウムを口から吸入させると肺繊維症や肺がんを作ったという報告があります。
 ところが、原爆直後の爆心地や西山地区に降り注いだプルトニウムの量は少ないので、放射線障害を心配することは全くありません。
 では、もし原子力発電所などの事故によって大量のプルトニウムが体内に摂取されたときに対策はあるのでしょうか。対策はあるのです。その時には、キレート剤という薬を注射して、プルトニウムを体内から尿中に排泄(はいせつ)させます。
  放射能Q&Aトップへ>>

 
home
ご挨拶
概要
組織
プロジェクト
国際放射線保健医療研究
原爆医療研究
放射線基礎生命科学研究
活動
セミナー
シンポジウム
ワークショップ・講演会
学術交流
e-Learning・遠隔教育
海外学会参加報告
WHOとの連携事業
出版
業績
人材募集
ニュース
一般の皆さまへ
放射線診療への不安に
お答えします。
放射能Q&A
プロジェクト紹介
(長崎大学広報紙)-PDF9MB
チェルノブイリ原発訪問記
大学院生 平良文亨
関連リンク
サイトマップ