長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
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ベラルーシにおける長崎大学海外拠点構築活動報告報告書


  昨年末から本プロジェクトの要である海外拠点の構築に携わっています。1991年からチェルノブイリ笹川プロジェクト、そして2000年からのJICAセミパラチンスク医療改善プロジェクトでは、山下先生の卓越した指導の下で、世界的な国際医療支援事業に携われたことが望外の喜びでした。ですからこの歳も顧みず、私自身の東京の活動拠点を捨て、老体に鞭打ちながら長崎大学の生き残りに、そして日本と旧ソ連との友好関係ならびに共同研究の円滑な推進のために、命をかけてロシア語圏との間で仕事を展開しています(これはいつも山下先生に天命、使命を全うせよと厳命されるからですが)。そして、今ベラルーシ共和国のミンスク市に単身赴任中です。
  この1年あまりの大学事務との初めての仕事、そして現地との関係改善などに関しては、多くの紆余曲折がありましたが、ついに念願の海外拠点が構築されました。すなわち2008年8月12日国立大学法人長崎大学法人代表部設立許可が、ベラルーシ共和国外務省から正式に発効され、その後、代表部の登記手続きを経て、ミンスク市にあるベラルーシ卒後教育医学アカデミー(BelMAPO)の1階の片隅に代表部事務所が開設され、実際の代表部活動が、2008年9月15日から実施されています。
 
タチアナ主任会計士と法律家セルゲイ氏 
  長崎大学代表部の設立目的は、グローバルCOEプログラムの3本柱の一つである国際放射線保健医療研究分野におけるチェルノブイリ原発事故後の住民健康影響調査、ならびに事故後激増した小児甲状腺がんの分子疫学調査という中心課題への対応が目的で、円滑な共同研究推進の現地拠点形成にあります。この目的において、新らたに締結された大学間学術交流協定に基づく本代表部の活動が大いに期待されるところであります。また、代表部の設立準備段階から現在は運営・管理業務体制となり、ベラルーシ国内の法律、税法に基づき運営が行われています。代表部活動実施のため、今回は、事務所開設後、2度目、2008年10月29日から5ヶ月の予定で現地に着任し、毎月末の決算、(9月分および10月分)第1回目のベラルーシ共和国における税務審査も無事終了しました。現在は、学術医療協力と教育研究の具体的な準備も始まりました。山下俊一教授の統括の下、本代表部代表高村昇教授、学術協力課一橋透係長、西崎美賀子さん、山田玲子さん等の皆様方のサポートの下、代表部事務所活動は、現在、私と主任会計士タチアナさんで行われています。
 
 宿泊寮からのミンスク市風景
  以下、簡単ですが、現地での活動の合に感じたことを一部述べさせて頂きます。ベラルーシ共和国は日本の国土面積の約半分で、人口約1000万人です。スラブ系民族でベラルーシ人、公用語は、ベラルーシ語、町での生活ではロシア語で話しています。大統領は、親露派のルカシェンコ大統領です。経済、文化的には、ポーランド、ロシア、ドイツの影響が大きく、首都は、ミンスク、人口約200万人の町並みは、静かで、建物も美しく、清潔な街です。エネルギー資源には恵まれず、ロシアとの関係は、いまだに親密です。すべての面で、以前のCISの一員としてふるまっているように見受けられます。ちなみに山下俊一教授はチェルノブイリ原発事故後15周年の節目に、日本チェルノブイリ連帯基金の鎌田実先生、写真家の広河隆一氏らと共に大統領勲章を授与されています。一方ベラルーシの国民性は、ロシア人と比較すれば、温厚で、大国意識もそれほどなく毎日の生活も一生懸命に生きているように思えます。先日も地下鉄で夜の10時半ころ乗ったのですが、仕事帰りか、これから仕事なのか、車内は、混んでいて、皆、疲れた表情をしていました。働き盛りの人は、掛け持ちで長時間仕事をしています。この点は、こちらの人はすごいと思います。経済的には、まだまだ小国ですが、物価、特に食料品の値段は、まだ安く、安定しています。お米1kg約200円,大きな黒パンが約50円、ハムソーセージの類は、1kg約500-1000円、今日は、ミカン1kg、バナナ5本,巨峰1房購入して、1000円くらいでした。買いだめです。ガソリンは、1リットル約100円以上します。タクシー代はその意味では、高いです。公共バス 30円、お菓子の部類は40年前と形、味そのままです。この国特有の社会擁護基金があり、給料の35%を強制的に国に納めなければなりません。政治体制はまだまだ社会主義的です。昨日、ディナモ競技場で、サンクトペテルブルグとベラルーシのチーム“ゼニット”とのサッカーの試合があり惜しくもベラルーシチームが負け、ラジオでは、若い女の子も悔し涙を流していました。またタクシーの運転手いわく、世界的な経済恐慌も、この国は、うまく切り抜け影響はないと言っていました。
  本日は、11月7日でベラルーシ共和国は革命記念日で祝日です。1917年、ロシア帝政時代、レニングラード(サンクトペテルブル)のネバ川に係留されていた戦艦オーロラ号の汽笛を合図にロシア革命が起きました。ロシアでは、本日の革命記念日は、パレードは行われましたが、現在は、祝日休みではありません。ソ連ではなく、すでにロシア連邦になったからです。逆に、ベラルーシ共和国においては、旧ソ連の文化がいろんなところで色濃く残っています。それとポーランドとは仲が良いです。赤い教会は長崎の鐘が寄贈されて有名なミンスク中心部のカトリック教会ですが、やはりポーランドの影響が大きいようです。バラドゥーリンの美しい詩もベラルーシ語から日本語に訳されています。
  今ミンスクの晩秋は、街並みの木々もすっかり葉が落ちてしまいました。朝晩はめっきり寒くなり0度前後、日中は4度くらいですが、湿度が低いため、日本のような、体に浸透する寒さではなく、まだ過ごしやすいです。この時期、霧も立ち込める日が多くなりました。まさにペチカが似合う冬のベラルーシの楽しみは読書とウォッカでしょうか。
  最後に、本代表部は、ベラルーシ卒後教育医学アカデミー(BelMAPO)の1階に開設され、実際の活動が、2008年9月15日から実施されています。
 
長崎大学代表部があるBelMAPO 
  これは特筆すべきことであり、旧ソ連の官僚体制が強く残るベラルーシで、ほとんど西側諸国からの企業進出や共同事業が無い中で奇跡に近いことです。今この寒くて小さな活動拠点を長崎大学の活動拠点として周知させるべく悪戦苦闘の毎日です。特に、事務所の運営維持活動だけについてでも、すべての物事の進め方が、我々には考えられないほど、官僚主義的で、緻密な手続き方法、書類の多さには大変苦しんでいます。何はともあれ代表部設立目的である、研究活動の本格的実施が強く望まれていますし、タチアナ・ログノヴィッチ助教の産休明けからの来年春以降の活動が楽しみです。それまでは私も老体に鞭打ち頑張る所存です。そして、無事この冬を乗り越えて、来春には長崎に凱旋できることを夢見ています。どうぞ多くの先生方、学生らがこの国を訪問し、両国の架け橋として事業の推進ならびに友情の輪を拡げて頂ける事を念願しています。

(分子診断学研究分野 大宮正範)
 
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