所長メッセージ的

原爆復興50周年祈念モニュメント
原爆復興50周年祈念モニュメント
 長崎大学原爆後障害医療研究所(原研)は、1962年に医学部附属の研究施設として創設され、51年目の2013年に大学附置研究所となりました。「原爆被爆者の後障害の治療並びに発症予防及び放射線の人体への影響に関する総合的基礎研究」が設立の目的でしたが、1986年の旧ソビエト連邦チェルノブイリ原子力発電所事故への支援、研究を契機に、国際レベルでの被ばく医療支援、放射線影響の分子疫学調査にも活動の場を広げてきました。さらに2011年の福島第一原子力発電所事故後は、これまで原研が蓄積してきた放射線被ばく医療の実績を生かして事故直後から福島へ人材を派遣し、福島県立医科大学の緊急被ばく医療再構築、福島県民へのリスクコミュニケーション、さらには福島県民健康調査立ち上げなどに尽力してきました。事故後の復興期に入った現在、福島県川内村に復興支援のための長崎大学拠点を設置するなど、さらに福島復興の支援を継続しています。

 現在、原研は4部門とセンターからなっています。「放射線リスク制御部門」・「細胞機能解析部門」・「ゲノム機能解析部門」・「原爆・ヒバクシャ医療部門」と「放射線・環境 健康影響共同研究推進センター」です。これらは、放射線を軸として、放射線に関連する社会医学、たとえば放射線被ばくがコミュニティーに与える影響から、放射線の人体への影響とその対応、細胞や遺伝子レベルでの放射線影響研究、放射線防護研究、ヒバクシャ治療・診断研究など、幅広い学術領域をカバーしつつ、研究所のミッション達成に取り組んでいます。そして福島県川内村拠点、ベラルーシ拠点を設置するなど、国内はもとより国際的な貢献を目指しています。 こうした取り組みを基として、広島大学原爆放射線医科学研究所、福島県立大学ふくしま国際科学医療センターと共に2016年には共同利用・共同研究拠点として「放射線災害・医科学研究拠点」に認定され、3大学が共同でこの分野でのより幅広い研究、人材育成を推進しています。

 長崎は、原子爆弾という再び利用されてはならない核兵器による惨害を経験しましたが、ここから得られた研究成果・資料を将来のために役立てることは我々の大切な役割です。これらを人類共通のかけがえのない遺産として後世へ引き継ぐと同時に、放射線の安全利用や被ばく事故等への対応に応用するなど、21世紀の人類の生存と福祉の向上に資することを願いながら、これからも教職員一同、研究・活動に邁進いたします。

平成29年4月

所長  宮 﨑 泰 司